俳優・松重豊(61)がテレビ東京開局60周年記念『孤独のグルメ』プロジェクトの会見を行った。ドラマ『それぞれの孤独のグルメ』がテレビ東京系で10月4日から放送され、『劇映画 孤独のグルメ』が2025年1月10日に全国公開であることが発表された。

松重豊初の監督・脚本作品に

『孤独のグルメ』(作/久住昌之・画/谷口ジロー)は1994年~1996年にかけて雑誌『月刊PANJA』(扶桑社刊、現在休刊)誌上で連載後、2008年~2015年まで『週刊SPA!』(扶桑社刊)にて不定期連載。累計150万部を超えるロングセラーとなったひとりめし漫画の先駆け的作品だ。

『それぞれの孤独のグルメ』は、多彩なキャストを主人公として迎えるオムニバス形式の作品で、『劇映画 孤独のグルメ』は松重自身が監督・脚本・主演を務める。映画作品において監督・脚本を担当するのは初だという。

「ドラマがシーズン10という節目を迎えたときに、私が映画化を提案しました。若返りつつあるスタッフを成長させたい思いもあって、どうせだったら大風呂敷を広げてやろうと」

 と映画化への経緯を説明。自ら監督・脚本を担当したのも「今までドラマしかやっていないスタッフが、慣れない映画のシステムに飲み込まれないように」自分がまとめ役になろうという思いからだった。

まさかの「ラブストーリーが主軸」

「私が頭になることで全体がやりやすくなればいい」と『孤独のグルメ』チームへの思いやりを見せる松重だが、脚本については「一生に一度、やれることはやろう」とわがままに要素を詰め込んだ。

「五郎が『それにしても、腹が減った』と言った後、ポン、ポン、ポンとカメラが引いていくおなじみのカットを、どこか印象的な場所で撮りたいと思い、パリのエッフェル塔でクランクインしました。最初スタッフは『無理無理無理!』と言っていましたが、何とかしてくれましたね(笑)。

 内容の主軸にしたのはラブストーリーで、冒険譚の要素もあります。皆さんがよく知っている井之頭五郎というキャラクターを、せっかく劇場で見てくださるなら、『とんでもないことになったぞ』という展開が面白い。自信を持ってお届けできるものになりました。観たら腹が減りますよ、保証します」

松重豊が引っ張る「孤独のグルメ」プロジェクト

画像: 松重豊が引っ張る「孤独のグルメ」プロジェクト

 相当な覚悟を見せる松重だが、今作では監督・脚本・主演のほか、すべての過程に携わっている。その中で、初めて「イヤというほど自分を見た」と苦笑いを浮かべた。

「今まで自分の出演作はほとんど見てこなかったんですが、監督なので仕方なく見ました。なかなか良い奴でしたよ。芝居をちゃんとやるし、編集も楽でした。“稀有な役者”だと思いましたね(笑)」

 劇伴音楽は、ドラマシリーズと同様に、原作者の久住昌之が率いるバンド・The Screen Tonesに松重が依頼した。

「久住さんには、音楽に懸けてもらいました。しっかりと“映画音楽”にしていただきましたし、共同作業として面白かったですね」

 10月4日スタートのドラマ版についても、企画から携わっている松重。「井之頭五郎ももちろん出演する」と前置きをした上でこう続けた。

「五郎だけじゃなくていろんな職業・年齢・性別の方が登場して、『腹が減った』って店を探して、うまいもん食べて『さあ頑張ろう』ってなるところを映したい。ドラマは今、キャスティングの最中です。オファーが来た人でまだ返事してない人は返事してくださいね。この場を借りて言いたいと思います(笑)」

原作者・久住昌之も「松重さん、仕掛けてきたな」

 さまざまな要素から期待値が高まる『孤独のグルメ』プロジェクト。原作者の久住昌之からもコメントが寄せられている。

「『孤独のグルメ』はボクのデビュー以来40年以上のワンパターンなんで、毎回、これで終わっても悔いなしと思ってやってます。だけど新シーズンのドラマは今までとは違う試みで『松重さん、仕掛けてきたな』って感じです。だから受けて立つ気持ちです。とりあえずドラマに合わせた新しい音楽を作っています。

 あ、映画? ビックリです。世界の反応がコワイですが、それも平常心で楽しみにしてます。根本的には世界平和を願う作品ですので」

 新たな展開を迎える『孤独のグルメ』。多彩なキャストがテレビで、そして井之頭五郎がスクリーンで日本中の「腹を減らし」てくれるだろう。

<取材・文/日刊SPA!編集部>

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